繊細な葉と、優雅で洗練された花を持つキンポウゲ科クロタネソウ属の一年草、ニゲラは、そのユニークな形状の実も魅力の一つです。控えめな存在感で、様々な庭園スタイルにマッチしますが、実は栽培には注意が必要です。
ニゲラ栽培で注意すべきポイントは次の２点です。
- 植物に含まれる毒性
- 栽培の手間が予想外にかかること
スパイスや薬品、香料として利用されることもあるニゲラですが、品種によっては中に有害なアルカロイドを含んでいることもあります。また、見た目の美しさに反して育てるのが難しい面も。
ニゲラの栽培を控える理由の具体的な説明とともに、その花言葉や効果的な栽培方法についても詳しくお伝えします。
ニゲラ栽培の避けるべき理由についての2つのポイント
ニゲラは、花だけでなく種子や実も多様な用途で活用されており、食品のスパイスとしても、また医薬品や香り付けのためにも用いられるなど、様々な品種が存在します。
しかし、このニゲラを植えることに懸念を示す声もあるのです。
ニゲラ種子の注意点
ニゲラ種子と一口に言っても、使われ方にはいくつかの種類があります。
「ブラッククミン」とも呼ばれる「ニゲラ・サティバ」の種子は、スパイスとして知られる「ローマンコリアンダー」、「ブラックキャラウェイ」、「オニオンシード」の異名を持ちます。
インドではこれを「カロンジ」と称し、香りづけのために利用されています。しかしながら、「ニゲラ・ダマスケナ」という品種の種子には、アルカロイドという有害な成分が含まれており、これを多量に摂取することは腹痛や嘔吐、さらには皮膚炎の原因となることがあります。
ニゲラ・サティバの種子にも有毒な物質が微量に含まれているため、安全のためにも自家栽培のニゲラの種子の摂取は避けるべきです。
栽培のコツとしてはチャレンジングな部分も
ニゲラは、園芸初心者にも親しまれる一年草ですが、意外に注意点があります。
この花は暑さにはやや敏感であり、おおむね秋に植えて夏前の実りを待つことになりますので、暑さに弱いという特性は影響が少ないと言えるでしょう。
耐寒性を備えており、花が長期にわたって楽しめる上に、面倒な花がら摘みや剪定の必要がないため、手間がかからずに済む点は嬉しい限りです。
それでも、育てる際は日当たりと風通しが良い場所を選ぶことが大切です。また、地植えにする場合は、土壌の調整が欠かせません。
育てる際は秋の種まきが一般的ですが、その時は乾燥しすぎないよう、気をつけましょう。適度に乾燥した環境を好むニゲラですが、水やりの量には特に注意が必要です。
手軽に育てられると評判ではありますが、実際は水やりのバランスや発芽までの管理など、思わぬところで気を使う必要があるのです。
魅力溢れるニゲラの3大特徴
ガーデニング初心者におすすめされることが多いニゲラは、その万能性から多くの人に植えたいと思わせる花です。
ニゲラの花色は、白やピンク、青、紫、複数の色が混ざったものなど多彩で、その愛らしい外見は多くの人々を魅了します。また、そのユニークな形状が多くの愛好者を生んでいます。
鑑賞やアレンジとして使える
ニゲラは、その花と実の両方で魅力があり、多くの人々に親しまれています。
美しい姿で庭を長い期間彩り、その人気は衰えを知りません。耐病害性に優れており、手間を要せずに育てることができるのが、その人気のひとつの理由です。
ブーケの中の一部として切り花に使用されたり、フラワーアレンジメントの素材として取り入れられたりしています。
ドライフラワーとしても扱われることが多く、その独特な形状の実は、スワッグに用いておしゃれに飾りながら自然に乾燥させる楽しみ方をする人も見受けられます。
初心者向けニゲラの育て方
ニゲラは秋の時期、具体的には9月から10月にかけて種を播くのが適しています。
この植物は種が光を避ける性質を持っており、「暗発芽種子」と呼ばれます。そのため、種を土にまく際には、しっかりと土を覆って光を遮ることが重要です。
種を蒔いた後の発芽や成長が見られるのはだいたい10月から11月の間です。種が充分に芽を出し始めたら、花壇や鉢植えへと植え替えを行いましょう。
ニゲラは土の乾燥を好む植物であるため、水やりには特に気をつけなければなりません。過度の水やりは避け、土壌が湿りすぎないように管理することが肝心です。
土が過湿の状態になると、植物が弱ったり、根腐れの原因になったりする可能性があるので、水の量には慎重になりましょう。
ニゲラの強さとお手入れのポイント
ニゲラは非常に病気や害虫に強い植物であるため、長い期間、手間をかけずに育てることが可能です。
しかし、春から秋にかけてアブラムシが発生することがあります。通常、茎や葉、芽に発生するアブラムシは、植物から汁を吸い取り、成長に悪影響を及ぼすことで知られています。
こういった厄介な害虫に対しては、定期的に植物を観察し、発見次第迅速に駆除するか、適切な防虫剤を使用して予防することが大切です。
ニゲラの花言葉は?
ニゲラの花に込められた言葉には、「当惑」や「戸惑い」、「ひそかな喜び」、「夢の中の恋」、「夢で逢えたら」という意味があります。
これらの言葉の背景には、英語での呼び名「Love in a mist」、つまり「霧の中の恋」という表現が影響しているとされます。
その独特な見た目は、非常に細かい糸状に裂けた葉が花を儚い霞のように取り囲み、夢か幻のような佇まいを見せることから、「夢」とか「戸惑い」といった感覚を喚起し、その結果としてそうした花言葉が生まれたと言われています。
まるで花そのものが持つ独特の魅力を言葉に反映させたかのような、実に象徴的な花言葉と言えるでしょう。
ニゲラ栽培のコツ
ニゲラは西洋で“茂みの悪魔”と称されるほど独特な魅力を持つ花です。この花を美しく育てるためには、まず栽培環境を整えることが大切です。
適切な環境とは、日光が十分に得られ、風通しが良い場所に設定することです。日光が不足すると花がうまく咲かないことがあるので注意が必要です。
ニゲラは寒さに比較的強いので、暖かい地域では外に地植えしても冬を越せます。
しかし、屋内で日差しを避けて育てるより、適度な寒さにさらされたほうが健康的で強い植物になり、春には勢いよく成長するでしょう。
ただし、霜が降りるような寒さの場所では防寒措置を講じることが大事です。
種まきは秋に行い、発芽したら約1～2ヶ月後に植え替えますが、ニゲラは移植を好まない特性がありますので、慎重に取り扱いましょう。
植え替えの際には根の塊を壊さないように、そのまま移植すると良いでしょう。用土は中性からアルカリ性が好ましく、また水はけと通気性が確保された環境を整えてあげてください。
花が咲き終えた後の摘み取り作業は不要なので、比較的簡単にチャレンジできます。
栽培環境さえ整っていれば、水のやりすぎに注意するだけで美しいニゲラの花を楽しむことができます。初心者にもぴったりの植物なので、育ててみてはいかがでしょうか。
まとめ
多くの人が耳慣れない「ニゲラ」という名称ですが、同じ植物のスパイスとしての名前、「クミン」や「コリアンダー」と聞けばピンとくる方もいるかもしれません。
「ニゲラ」と聞いてもなかなか想像がつかないですが、とても美しい花を咲かせるんですよ。
また、育て方も思っているより手軽で、大事なポイントさえ押さえておけば、ほとんど失敗の心配は無用です。
ガーデニング初心者の方々にとって、この植物は初めの一歩として挑戦するには最適です。
簡単に取り組めて、初めての人でも無理なく栽培できるのが魅力的です。
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