バーミキュライトとは、もともとは蛭石と呼ばれる天然鉱石を、高い温度で加熱処理することにより膨張させた、人口の土壌改良材です。
ホームセンターや植物を扱う店舗では、「挿し木用土」として陳列されていることがよくあります。それでは、このバーミキュライトが挿し木の際に好んで使用されるのはなぜなのでしょうかこの記事でご説明します。
バーミキュライトは清潔性に優れた挿し木用土
バーミキュライトとは、天然鉱石である蛭石を高温加熱し焼成処理することによって生成されます。この過程で細菌が排除されるため、バーミキュライトは純粋で清潔な状態が保たれます。挿し木で土を使う際、清潔な用土が必須とされるのは、切り口が細菌により侵されることで発生する腐敗を防止するためです。したがって、このほぼ無菌のバーミキュライトは、挿し木に欠かせない素材となっています。
バーミキュライトの利点:優れた保水力
バーミキュライトは、数多くの細孔が存在し、それがアコーディオンのように折りたたまれた構造を持っています。この独特の構造により、大量の水分を保持することができるのです。特に、挿し木など植物の成長初期において、適切な水分管理は極めて重要であり、バーミキュライトはその点で高い効果を発揮するのです。
挿し木が成功するかどうかは、発根をいかにスムーズに行えるかにかかっています。そのためには、挿し木の切断面からの水分吸収と、葉からの水分蒸発との適切なバランスが必要不可欠です。水分管理のためには挿し木用土の保水性も大切ですが、それに加えて、直射日光を避けたり、風通しの良すぎる場所を避けたりすることも、挿し木の成功には欠かせません。
バーミキュライトは肥料分が含まれていない!
バーミキュライトには肥料成分が含まれておらず、これは重要なポイントです。肥料を含む用土では、その浸透圧の高さから植物が水を効率良く吸収できないことがあります。挿し木などで新たな植物を育てる際、肥料成分のないバーミキュライトは水分の吸収を妨げないため、非常に適している用土と言えるでしょう。
バーミキュライト以外で利用可能な代替土材料
挿し木や挿し芽に使用する土は、保水性が高く、無菌環境を維持できるものが望ましいです。ここで言う無菌状態の土とは、雑菌はおろか肥料や有機物が含まれていない、清浄な土のことを言います。そのような土として、赤玉土や鹿沼土が挙げられ、これらは無菌である上に、排水性にも秀でていますので適しています。
ただし、排水性が高すぎると土がすぐに乾燥してしまうため、同時に保水性のある土の使用も重要です。この役割を果たすのが、ピートモスやバーミキュライトなどです。理想的な土の配合としては、赤玉土と鹿沼土を各4割、ピートモスとバーミキュライトをそれぞれ1割ずつ混ぜ合わせたブレンドがお勧めされます。
もし初心者である方や土の配合を自分でするのが煩わしいと感じる方は、ホームセンターなどで販売されている挿し木専用の土を購入するという手もあります。
挿し木の正しいステップをおさらい
手順1.挿し穂の準備
挿し木に用いるのは、柔らかい新芽よりも発達した組織を持つものが好ましいです。適切な長さは7〜10cm、節で言うなら3〜4節が望ましいです。下の葉を取り除いてから、切り口が水を吸いやすくなるようカッターを使用して斜めにカットし整えます。その後、切り口が潤うように水に1〜2時間浸しておきましょう。発根剤がある場合は、この時点で塗布します。
手順2.土に挿し木を行う
用土を準備した鉢やプランターに詰めた後、穴を開けて挿し穂を1節以上が埋まるように挿入します。鋭利な工具などを使うと切り口が損傷する可能性があるので、柔らかいツールや指を利用して優しく行います。
手順3.十分な水やりと保管環境の確保
挿し穂を土に挿したら、惜しみなく水を与えます。土全体が湿ったことを確認したら、土と挿し木が密着するように軽く押さえつけます。水やり後は、植物が生えるまで直射日光を避けて、風通しが良い日陰に置いてください。土が乾かないよう注意しましょう。
発根を促すアドバイス
発根剤を使用することで、挿し木や挿し芽の成功確率が向上します。粉末や液体、ジェル状などの様々な形がありますが、特に粉末や液体の使用が推奨されます。粉末は切り口に直接まぶしたりペーストにしてから塗り付けたりします。液体は切り口に直接適用するか、水で薄めてから挿し穂を浸しておく方法があります。
根が出るまでの期間の目安
植物によって発根にかかる時間は様々ですが、大体3〜5週間を見込むことが多いです。特に小さな鉢やプランターを使用する場合、3週間を経過したころには軽く土を掘り返してみたり、鉢底から根の様子をチェックすることをお勧めします。
挿し木での増殖に挑戦!失敗しやすい植物のポイント
挿し木による増殖法は多数の植物に適用可能ですが、すべての植物が挿し木でうまく育つわけではありません。特に注意が必要なのは、葉が根よりも先に成長する性質を持つ植物、病原菌に弱くて病気になりやすい植物、茎が木の枝のように堅くて木質化している植物、また節がない植物です。
しかし、これらの特徴を持たない植物でも、種類によっては挿し木での増殖が難しい場合があるため、実際に挑戦する前には情報を集めておくことをお勧めします。
挿し木に適したバーミキュライトの特徴と使用法
バーミキュライトは、高熱で加工されているため、ほとんど無菌状態であり清潔です。この材料はまた、優れた保水性を有しており、挿し木作業時には肥料成分を含まず、水分を保持しやすいため、挿し木が乾燥することなく、発根するまでの期間にストレスを最小限に抑えることが可能です。これらの点が、挿し木用土としてのバーミキュライトを魅力的にしています。
さらに、土壌改良材としても利用できるバーミキュライトは、土の保水性や保肥力を向上させるのに寄与するでしょう。そして、特筆すべきはその軽さ(かさ比重0.1)で、これを土に混ぜ込むことで土自体の重さを軽減し、ハンギングバスケット用の軽量な用土を作り出すことが可能になります。
便利で汎用性の高いバーミキュライトは、多目的に使用できるため、常備しておくと様々なシーンで役立つことでしょう。
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