こんにちは。10月が終わりに近づくと、秋も後半に差し掛かりますね。気温が下がって肌寒さを感じるようになってきた今日この頃です。
まだ完全に冬の到来という訳ではありませんが、花屋さんでは冬の風物詩であるシャコバサボテンの早咲き品種が店頭に並ぶ季節です。
以前はシャコバサボテンの夏の過ごし方や秋の手入れについてお話ししましたが、これからの時期は、冬への準備について気を配る必要があります。
- シャコバサボテンの冬支度はどうすればいいのでしょうか? 冬期の管理方法について疑問を抱えている方も多いでしょう。
- また、シャコバサボテンは寒い屋外でも育つのかということも、気になるポイントです。
そこで、今回はシャコバサボテンが屋外でも問題なく育つのか、また冬の時期の適切な管理方法について述べたいと思います。
本文を読むことで、シャコバサボテンの冬季の育て方に関する重要な情報を学ぶことができるでしょう。それでは、具体的な話を順に見ていきましょう。
屋外でシャコバサボテンを越冬させられるかどうか
シャコバサボテンの越冬について直接お伝えしますと、外での冬越しは適さないことがほとんどです。寒さに敏感なこの植物は、花がない状態でさえ最低限5℃の温度が必要になります。
乾燥した状況での低温に対する適応を促すことで、1~2℃程度までなら何とか持ち堪える可能性があります。ただし、花がない時と、霜や強い寒風から守られた環境が大前提です。
12月から2月の期間に、適切な育て方がなされたシャコバサボテンは開花していることが多く、開花株を新たに購入した場合も同様です。
花が咲いている期間は通常時よりも水分が必要となり、夜の温度が10℃を下回ると花が落ちやすくなるため、日本の冬の低温では外での越冬は無理があります。
ただし、沖縄など冬でも最低温度が10℃を保つような地域では外で冬を越すことも可能かもしれません。
ここからは、12月から2月にかけてのシャコバサボテンの丁寧な管理法を月別にご案内します。
冬季におけるシャコバサボテンのケア指南(12月編)
既に我が家で育成している早咲き種や、開花時期を調整するための短日療法を施したシャコバサボテン、または新たに迎えたばかりの株も、華やかな花を咲かせる盛りです。
冬の寒い時期である12月には、シャコバサボテンの花は格別に長持ちするといえるでしょう。ただし、花を可能な限り長く鑑賞するためには、日光の当たる場所での管理や、適切な水やりが大切です。これから具体的なケア方法についてお話しします。
日当たりと置き場所
昼間はシャコバサボテンを屋内の日の当たる明るい窓辺に配置してください。
夜から明け方にかけては、窓辺は外気と変わらないほど気温が下がります。
そのため、シャコバサボテンを暖房がかかった部屋へと移すことで、寒さから守ることができます。
暖房の利用できない場所にしか置くことができない場合は、気温が10℃未満にならないように気をつけて、窓から離れた場所に保管してください。
12月に入り花が咲き終えたシャコバサボテンがある場合は、日中の温暖な時間帯に少なくとも3時間は直射日光が当たる屋外エリアや窓際に置き、光合成を行わせることが大切です。
夜間はシャコバサボテンが凍結しないように、少なくとも5℃は保てる屋内の場所で越冬させてあげてください。
水やりのコツ
花が咲いている時期や花が咲く前のシャコバサボテンの世話には、土の表面が乾いたら、午前中から午後の温かい時間にたっぷりと水を与えます。この際、鉢底から水が流れ出るくらいが丁度いいでしょう。
もし水受け皿を使用している場合は、水がたまると根腐れを招くことがあるため、皿に溜まった水は早急に捨てるようにしてください。水を溜めたままにすると、根が腐る原因になりますから、細心の注意を払うことが大切です。
一方で、花の季節が過ぎ去るとシャコバサボテンは成長を休止し、冬眠に入ります。この期間は、水やりの頻度を徐々に減らしていく必要があります。
特に注意したいのは、夜間の気温が最も低下する時間帯までに、土の湿り気が落ち着いている状態を目指すことです。これには、夕方の水やりは避けることが肝心です。夜に土が濡れたままだと、霜害が生じて植物が枯れる可能性も出てくるためです。
肥料の与え方
開花を控えたシャコバサボテンや、花を咲かせ始めた株には、希釈した液体肥料を週に1回、水やりの代わりに供給することで、花が美しく開く手助けをします。しかし、花が終了した後は、肥料の施用は行いません。
仮に、冬季においても暖房が効いていて夜間も光が届くような環境下にある場合は、植物が生長期に入り大きく成長しようとする可能性があります。このような特別な状況では、花後も継続して肥料を与えても問題ありません。
開花前や開花中の株に対して肥料をあげる場合は、当店が推薦するハイポネックス社の「トップクオリティ開花促進」が適しています。これを使用することで花の開花をより促進できます。ただし、忘れずに、花が咲き終わった後は肥料を与えないようにしてください。
植物の植え替えについて
寒い冬季には、植物を植え替える行為は避けるべきです。
この時期に無理やり植え替えを行うと、植物が枯れてしまう可能性が高くなります。
花がら摘みのポイント
花の見頃が過ぎた後は、定期的に花がらを摘み取ることが重要です。放置すると花柄の湿気が原因でカビが発生し、病気のリスクが高まるためです。
短日処理
年が変わるほどの12月には、太陽の光が減る自然な周期により、短日条件が整います。そのため、室内が夜に暗くなる環境にある場合は、特別な手間をかけることなく、短日処理を施すことが可能です。例えば、照明を消して真っ暗な部屋に植物を置くだけでも効果があります。
照明が夜遅くまで点いている環境にある、開花していない株や蕾のついていない株は、日が落ちてから8~11時間の明るさに制限することで、約2ヶ月後に開花へと導くことができます。
重要なポイントとしては、開花のための短日処理を実施する場合、温度が15℃以上を保てる環境を作ることが重要です。
短日処理に関する具体的な方法については、シャコバサボテンの秋期のケアに関する情報を参考にしてください。
病害虫予防と対策
寒い冬の時期において、大抵の場合病害虫に悩まされることは少ないものです。しかし、室内で暖房を使用していたり、他の観葉植物が周囲にある環境では、病害虫が発生するリスクが否定できません。
特に温暖な環境を提供する園芸店から購入した植物には、気づかぬうちに害虫が潜んでいることがありますので、植物を手に入れる際には十分に調べることが重要です。
万一病害虫が見つかった場合に備えて、予め殺虫剤や殺菌剤を準備しておくことをお勧めします。特に効果的なのが「ベニカXネクストスプレー」という商品です。
さて、次にお伝えするのは、1月におけるシャコバサボテンの冬季管理についてです。
1月のシャコバサボテンケアガイド
寒さが増す1月は、シャコバサボテンにとっても冬の厳しい試練となります。早咲きのものでは、この時期にはすでに花の見頃を過ぎ、休眠期に入っていることもあります。
対照的に、遅咲き種や短日光調節によって花のタイミングをコントロールした株は、満開を迎えたり、これから咲こうとしていることでしょう。
特に厳しい冬の寒さによる凍害を防ぐため、注意深く管理する必要があります。それでは、この時期のシャコバサボテンのお手入れ方法について詳しくご紹介します。
日照と保管場所についてのアドバイス
年間の中で最も冷え込む1月になると、沖縄地方のように最低気温が10度を下回らない特別な地域を除き、シャコバサボテンは室内での明るい環境下での管理が求められます。
この植物が開花を終えて成長が停止し、休眠期に入ると、多少光量が少ない場所でも大きな影響はありません。しかしながら、次の成長期に備えて、やはり明るい場所での管理が推奨されています。
特に夜から翌朝にかけて窓辺の温度は外気に近くなりがちですから、夜間は少し離れた明るく暖かい場所に移動させるのが良いでしょう。室内では、最低でも5度以上の温度を保てるスペースを確保することが大切です。
土をやや乾燥させておけば、シャコバサボテンは1度や2度の低温にも順応することができますが、開花期間中またはこれから花を迎える時期は日中は窓辺の光をたっぷりと浴びさせるべきでしょう。夜間は10度以上の温度を保持できる部屋が最適です。
暖房器具の風が直接当たると、急な乾燥で植物が枯れるリスクがあるので、風が直接当たらないようにすることも心がけましょう。だが、暖房が強すぎて室温が20度を超えると、花がもたなくなることがあるため、そうならないように注意が必要です。
10度から15度の範囲で明るい環境を保つことが、シャコバサボテンの花を長く美しく保つコツです。
シャコバサボテンの水やりについて
シャコバサボテンが休眠期に入り、成長を停止した際は、水の与えすぎに注意しましょう。土の表面が乾燥してから3から4日を経ってから水を与えるのが適切です。
この際、水は鉢底からしっかりと流れ出るまでたっぷりと。植物の環境や鉢の素材、土の組成によって水の必要量は変わるため、土がどれほど乾燥しているかを手で触って確認することが大切です。
一方、開花期にはシャコバサボテンはより多くの水を必要とします。水やりも鉢底から水が流れ出る量を目安に、ただし間隔は休眠中よりもやや短めにしましょう。
この時期は乾燥に注意し、葉に霧吹きで水を吹きかけることによって、植物が活き活きと成長し、美しい花を維持する手助けとなります。霧吹きや葉水について詳しく知りたい方は、関連する情報をチェックしてみてください。
肥料の管理
1月の寒さは植物にとって適さないため、12月と異なり花が咲いている植物に肥料を施すことは避けるべきです。肥料は気温が15度以上を維持している環境下でないと、植物の根を傷める可能性があるため、注意が必要です。
植え替えについて
通常、植物の植え替えは行いません。植え替えが原因で、植物が冬を乗り越えることが難しくなり、枯死してしまうリスクがあるので慎重に扱う必要があります。しかし、環境が温室のように温度が15℃を上回る条件であれば、植え替えを実施することもできます。
花のお手入れ:花がら摘みについて
花が全開の時期にある植物は、次々と散った花を取り除いていくことが重要です。放置することで、病気や害虫の発生を招いてしまう恐れがあるため、定期的なケアが必須です。
短日処理について
常に光が射す明るい室内に植物が置かれ続ける場合、花芽の形成が進まずに花が開花しない事態が発生します。短日植物にとっては、特にこの時期に適切な短日処理が不可欠です。
そのためには、夜の温度が最低10℃、理想的には15℃以上の環境を用意することが肝心です。
日照時間に関しては、冬季には特に問題はないものの、夜間に植物が人工光に晒されないよう細心の注意が必要です。
具体的な短日処理の手順や必要な条件等については、秋季の植物管理の方法を参照して情報を得ることができます。
病害虫の発生と冬の管理
1月は年間で最も病害虫の出現が少ない時期とされていますが、それでは完全に安心するわけにはいきません。暖房による室内の乾燥は、ハダニが繁殖しやすい環境を作りますし、水やりの過剰はカビの原因となることもあります。
したがって、常に注意深いケアが必要です。さて、それでは冬を越すための2月の病害虫管理についてのポイントを見ていきましょう。
2月のシャコバサボテンの適切な手入れについて
2月が進み、冬の寒さが厳しい時期には、多くのシャコバサボテンたちは成長を休止し、休眠状態に入っていることが一般的です。
中には遅い時期に咲く種類や、短い日照時間によって開花時期を調節されたタイプが美しく咲き誇っている場合もありますね。
特に開花中のシャコバサボテンに対しては、管理上の注意が必要です。寒波等で気温が10℃未満になりそうな時は特に、適切な温度管理を心がけることが肝心です。
この点に配慮しながら、下記にご紹介するシャコバサボテンの管理方法を行っていきましょう。
日差しと鉢の配置
1月と同様、日の差し込む明るい部屋に植物を置き続けましょう。 もし窓辺に植物を配置して光が一方からしか来ないようであれば、株の全体に均等に光が行き渡るように定期的に鉢を回転させることが大切です。
これは、春の成長に良い効果をもたらします。 特に、開花期を終えた植物は、均一に光を受けられるように注意してください。
水やりについてのポイント
冬の寒さが残る2月も、前月と変わらない水やりの方法を維持しましょう。咲き終えた植物には、やや乾燥気味に水を与えるのが適切です。
一方、今が開花期の植物には、乾きすぎないようにするために、咲き終わった植物よりも水やりの間隔を短めに設定しましょう。
肥料の取り扱いについて
1月と変わらず、今月も肥料を施すことはありません。
植え替えについて
1月に引き続き、この時期には植え替えを行いません。
花がらの摘み取りについて
遅くまで花を咲かせる品種や、短日処理を施した花が現在開花していることが多いですから、花がらをこまめに摘んでおきましょう。
花がらを取り除くことは、見栄えを良くするだけでなく、植物の病気や害虫の予防にも役立ちます。
寒さのせいで部分的に枯れてしまった草花がある場合には、枯れた節点をねじるようにして慎重に取り除くことが大切です。
シャコバサボテンに短日処理を
以前よりも明るい環境に置き続けた結果、花を付けないシャコバサボテンがあれば、15℃の恒温下で短日処理に取り組みましょう。
この方法で、1月に短日処理を開始すれば、春の4月ごろには開花を見込むことができるでしょう。しかし、置かれている場所が原因で2月までに開花しない場合は、強引に花を催促せず、次の冬へ向けた栽培計画を立てるのも一つの選択肢です。
病害虫の対策
1月と同様にこの時期は病害虫の被害が比較的少ない季節にあたります。
それでも、室内の暖房による乾燥や他の植物からの影響を受けて、稀に病害虫が現れることがありますので警戒が必要です。
普段から慎重に植物を観察し、病害虫の徴候を見つけたら、すぐに適正な処置をとることが大切です。
こうした点に留意して、シャコバサボテンの12月から2月にかけての冬季管理を行いましょう。
最後に、これまの内容の要点をまとめましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。冬に鮮やかな花を咲かせるシャコバサボテンの越冬方法についてお伝えしました。
輝くような花と独特な葉の形が、見る人の心を掴みますね。外に飾りたくなる気持ちもわかりますが、シャコバサボテンが日本の冬の気温を好まないことは忘れてはいけません。寒さから守るための注意が必要です。
さらに、秋に日光をたっぷり浴びせて育てていたものを急に室内に持ち込むと、急激な変化で花や蕾が散ってしまう恐れがあります。そんな時は、徐々に屋外から軒下へ、その後室内の窓辺へと移動させることでストレスを軽減できます。このような経験をもつ方は特に、秋から冬にかけての急な環境変化に注意が必要です。
これからの時期、園芸店ではプレゼント向けのシャコバサボテンも見られると思います。贈る人も貰う人も、越冬対策をしっかりとして、長い間その美しさを堪能したいものです。
さあ、美しいシャコバサボテンの世話をして、素晴らしいグリーンライフをお楽しみください。
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