赤ちゃんの愛らしい唇は、敏感な肌と同様に乾燥に弱い部分です。
赤ちゃんの体調や疾患はしばしば唇を通じて表れることがあるため、その変化に敏感であることが肝要となります。
乾燥に対する予防策や唇に関するトラブルの解決方法を明確に解説していきますので、赤ちゃんの唇の健康を保つための役立つ情報としてご利用ください。
唇がカサカサ!乾燥の原因やケアの仕方
赤ちゃんの唇はなぜ乾燥しがちなの?
赤ちゃんの唇は角質層が薄いことから、乾燥しやすい特性を持っています。この部分では保湿される水分の量が少ないため、つい乾いた状態になりがちです。さらに、唇は皮脂の分泌も比較的少なく、必要な油分が不足しているため、簡単にダメージを受けやすい敏感な部分でもあります。
普段、母乳や粉ミルクを飲む際に唇をなめたり、手やおもちゃを口に運ぶことで、保護する油分まで舐め取ってしまうことがあります。加えて、よだれやミルクが唇や口元につきやすく、清潔を保つために拭う行為も、皮脂を削ぎ落とし、乾燥や荒れの要因となるのです。
乾燥肌への傾向や、その他さまざまな要因が赤ちゃんの唇の乾燥に関与しています。したがいまして、その小さな口元には、適切なケアが求められるのです。
唇の乾燥対策と注意点
ご自宅での時間は、加湿器を利用して適切な湿度を維持したり、エアコンの風が直接肌に当たらないよう配慮することで、乾燥を抑える環境を整えましょう。
乾燥による粉ふきの症状が現れれば、直感的にリップバームを使いたくなるものです。しかし、始めに温かい水で湿らせた布で優しく唇を拭く手順を踏んでください。
その際、ガーゼのように柔らかな素材を選び、適度な湿り気を保つようにしましょう。水滴がこぼれるほどにしぼる必要はありません。
汚れを落とすことで、乾燥が改善することが期待できます。
それでも唇の乾燥が気になる場合には、赤ちゃん向けのリップクリームやワセリンを軽く塗布することが望ましいです。
成人の唾液を塗ったり、成人向けリップ製品の使用は控えてください。香料が含まれていることも多く、注意が必要です。
乾燥した唇に隠された脱水への警告
赤ちゃんの唇がパサパサに乾いているときは、脱水症状のサインかもしれません。活発な代謝と発汗により、赤ちゃんの体はすぐに水分を失います。日々の生活で、意外と水分不足に陥りやすいのです。特に、日光を浴びたり、長時間の睡眠の後などは、水分補給を意識して行いましょう。
また、下痢や嘔吐が見られる場合は、脱水を引き起こしやすい状況にあるため、定期的に水分を小分けにして与えることが大切です。
乾いた唇だけでなく、尿の量が減ったり、汗をほとんどかかないなどの症状が見られた場合も、脱水症状を疑ってください。脱水状態の初期段階かもしれませんので、留意が必要です。
脱水症状が懸念される際には、イオンを含んだ飲料を提供することが好ましい選択となります。
どうすればいい?赤ちゃんの唇トラブル
寒さが影響?赤ちゃんの唇の色と震えについて
赤ちゃんの唇が青紫色をしている時は、体温が低下している可能性が考えられます。大人でも、寒さで体が冷えると唇が青く見えることがあります。
そのため、手足が冷たく感じる場合は、赤ちゃんに靴下やミトンをしてあげるなどして注意しつつ観察しましょう。唇の色がピンクに戻るなら安心です。
しかし、顔や手指が青紫色に変色している状態が見られれば、何らかの体調不良のサインかもしれません。その場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
赤ちゃんの唇が震えている様子に出会ったことがある方も多いでしょう。寒さが原因かと思い、毛布で温めても止まらない場合、心配にかられて病院を訪れる親御さんもいます。
しかし、唇の震えだけであれば、大抵は口周りの筋肉が痙攣しているに過ぎません。特に力んで母乳を飲んだ後などによく起こる現象なので、過度に心配する必要はないでしょう。
白い皮がむける症状、心配は不要?
乳児が授乳の際に上唇の中央部分に白く膨らんだ水膨れのようなものが現れることがありますが、これに不安を感じる親御さんも多いでしょう。
この現象は「吸いだこ」と呼ばれ、哺乳の過程で乳首を唇できつく吸い込むことにより、皮膚の特定部分が摩擦によって厚く、そして白く変化するものです。
見た目は水ぶくれと似ていますが、痛みを伴うことはなく、実際は角質層が堅くなって形成された「たこ」であり、心配する必要はありません。授乳後、唇の皮が湿って自然に剥がれることがほとんどで、その後、キズが残ることなく元の状態に戻ります。
見た目には気になってしまうかもしれませんが、強引に取り除くことはせず、自然の流れに任せましょう。赤ちゃんが成長し、口が大きくなって吸い方が変わってくると、自然と「吸いだこ」もできにくくなります。
唇のひび割れによる出血とその対応方法
赤ちゃんの唇からの出血を目にすると心配になってしまいますが、冷静に適切な対応をすることが大切です。最初に清潔なガーゼを使用して血液をそっと拭い去り、傷の深さを確認しましょう。
もし傷が浅く、赤ちゃんが特に苦痛を感じていないようであれば、専用のリップクリームやワセリンをたっぷりと塗布して、状態を見守ってください。
血が止まらない場合は継続して優しく拭き取りながら、ケア製品を塗り直しましょう。また、傷口が汚染されて感染することがないように、清潔な状態を維持しましょう。
赤ちゃんが傷口に触ったり、なめたりすることで感染症のリスクが高まるため、常にそばで注意を払うことが肝心です。
痛みに耐えられずに泣き続ける場合や、痛みのために授乳が困難になり、適切に飲むことができない状況が持続する場合は、早急に医師の意見を求めることが重要です。
知っておきたい!赤ちゃんの唇の病気
口唇ヘルペスに警戒 – 水疱を見落とさないで!
単純ヘルペスウイルスは核酸とタンパク質から成り立っており、口唇ヘルペスを引き起こす主な原因物質です。特に体調が優れず、免疫力が落ちている時に感染する傾向にあります。一度感染すると、このウイルスは神経細胞に身を潜め、体内で永続的に存在し続けることが多いのです。よって、風邪などで健康状態が悪化すると、口唇ヘルペスが再び現れやすくなります。
感染が進むと、口元に赤い斑点が出現したり、唇にピリピリとした感覚が生じたり、さらには水疱が形成されたりすることもあります。それにより、時には痛みを伴って口を大きく開けることができず、乳児の場合はミルクを飲むことが困難になることがあります。
水疱内には大量のウイルスが含まれているので、引っかいて状態を悪化させないように気をつけましょう。乳幼児への感染は、大人が頬に対してキスをしたり、肌に触れたりすることによって主に起こります。口唇ヘルペスを持っていたり発症している際には、キスや頬ずりを避け、感染を防ぐ対策を心がけてください。
乳幼児の口唇炎について
口唇炎は皮膚炎の一種で、赤みや腫れ、ひび割れ、水ぶくれなどが唇に現れる症状のことを指します。多くの場合、唇が痛々しく赤くただれているものの、実際に感じる不快感はそれほど強くはないかもしれません。しかし、特定の食べ物を口にすると刺激を感じることがあるでしょう。
この状態の原因として、乳幼児がミルクや母乳を飲んだ際、またよだれをたくさん出した時の皮膚のかぶれが考えられます。さらに、成長して自分の唇や手をなめることが増えると、なめた部分が刺激を受けてただれてしまうこともあります。
赤ちゃんは口のまわりが汚れることが多いので、定期的にぬるま湯や湿らせた布で優しく清潔にしてあげる必要があります。清掃後の保湿ケアも肌を健やかに保つために重要です。
さらに、アトピー性皮膚炎を持っている子どもは、口唇にアトピーの症状が現れやすくなることがあります。この状態をアトピー性口唇炎と呼び、特に注意が必要です。
唇が腫れて発熱する川崎病についての注意
川崎病は、特に4歳以下の幼児に多く見られ、大人に多い心筋梗塞を小さな子供が経験する危険性があります。
昨今の治療法の発展により、早期に治療を開始すれば治る確率が高まっていますが、一方で手遅れになると生命を落とすリスクも持ち合わせた病気です。
その原因はまだはっきりと明らかになっておらず、予防方法も確立されていないのが現状です。
川崎病の症状に迅速に気付き、速やかに治療を始めることが非常に大事です。具体的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 高熱が出る
- 発疹が生じる
- 手足の指が赤く腫れ上がる
- 首周りのリンパ節が腫れる
- 唇が赤くなり、ひび割れや出血を伴い、かさぶたができる
- いわゆる「いちご舌」と称される、舌が赤く腫れ上がりブツブツができる状態
これらは風邪の症状と似ている部分もありますが、川崎病が疑われる特徴的な症状が唇に現れることが多いため、その点を特に注意して観察することが重要です。これらの症状が幾つか見受けられた場合には、遅れを取ることなく医療機関へ受診することをおすすめします。
まとめ
厳しい寒さだけでなく、エアコンの風や強烈な紫外線も含め、年間を通して乾燥するシーンは多々あります。
成人の皮膚であれば耐えられることも、敏感な乳幼児にとっては乾燥や脱水のリスクが高まるため、親としてはその点を忘れずにいなくてはなりません。
リップケアやスキンケアは基本ですが、唇の異常によって病気のサインが表れることも考えられるので、注意深く観察しましょう。
赤ん坊自身では痛みや体調不良を訴えることが難しいため、親としては赤ちゃんが心地よく過ごせる環境を常に提供することが求められます。
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