一般的に刺身は冷蔵保存でおおよそ2日が賞味期限ですが、これを漬けに加工することで期間を倍増させ、約4日間楽しめるようになります。この長持ちの秘訣は、漬けダレに含まれる抗菌成分や、塩分の作用によって水分活性が低下することにあります。
適切な漬けダレの割合は「醤油:酒:みりん=2:1:1」とし、漬け込む時間を5~6時間と設定すること、また冷凍した漬けダレは冷蔵庫でじっくり自然解凍させることがおいしさを保つ三大原則です。これらを踏まえた調理法を身に着けることで、美味しさをキープしながら刺身を長持ちさせることができるでしょう。
本稿では、以下のポイントについて詳しくご説明しています。
- 刺身を漬けにすることでどの程度日持ちがするのか
- 刺身を美味しく漬けるためのテクニック
- 刺身の賞味期限と、日持ちさせつつ美味しく保つための保存法や調理法
したがって、刺身を漬けにして長持ちさせたいとお考えの方は、この記事を最後までご覧いただければ、その方法とコツが明らかになりますので、ぜひ参考にしてみてください。
刺身を漬けにした場合の日持ち期間
刺身は新鮮なうちに食べるのが一般的ですが、これを漬けに変えることで、賞味期限をわずかに伸ばすことが可能です。以下では、漬けを用いた保存方法の持続期間およびそれによって保存期限が延びる理由について解説します。
- 漬けの保存期間について
- 漬けにすることで保存期間が延びるメカニズム
漬けにすると鮮度が長持ち
通常、刺身を冷蔵庫で保管すると約2日が賞味期限の目安となりますが、漬けに加工することでこの期間を約2倍の4日まで延長できます。
更に、漬けた魚は冷凍して保存することも可能です。この方法なら、およそ1週間は鮮度を保つことができます。ただし、冷凍する場合は食中毒の心配はありませんが、1週間を超えると食感が劣化する傾向にあります。
漬け物の保存における指針としては、冷蔵保存なら最大4日間、冷凍保存であれば1週間が目安だと覚えておきましょう。
漬け物による保存期間の延長の秘密
漬け物として加工することでなぜ刺身の保存期間が長くなるのか、その理由には複数の要因が関係しています。
- 漬けタレに存在する成分の殺菌作用
- 塩分が引き起こす水分活性の低下
さて、漬けタレにはしばしばワサビや日本酒などの殺菌力を持つ食材が配合されています。これらの素材は、刺身を腐らせる微生物の増殖を抑制する役割を担っています。
加えて、漬ける作業に先立って刺身から余分な水分を取り去り、次に醤油や出汁など塩分濃度の高いタレに浸します。塩分は食品から水分を奪うことで、微生物が繁殖するために利用可能な水分量、いわゆる水分活性を低減させます。漬物がこの低水分活性のために腐敗しにくいのと同じ原理です。
これを刺身に応用しているわけですが、風味のバランスを考慮し、漬けが過度に塩辛くならないよう塩分量には注意が必要です。味の調整に慎重を期して漬け物作りに挑みましょう。
刺身の漬けを習得するコツ
こちらでは、絶品漬けを作るための秘訣についてご紹介いたします。
- タレは基本の比率を守って作る
- 漬け時間に注意!
- 冷凍した場合は、解凍方法に注意!
漬けダレの基本比率をマスターしよう
漬けダレを作る際には、失敗を避けるために基本の比率をしっかり守ることが大切です。以下が基本の比率です。
- 醤油:酒:みりん = 2:1:1
この基本比率にプラスして、ワサビやニンニク、マスタードなどを加えることで、お好みの風味をプラスすることが可能です。しかし、比率を間違えると、味が薄かったり濃すぎたりして、うま味が感じられないタレになる可能性があります。特に初心者の方は、まずは基礎の比率を守ることから始め、次第に様々な比率で自分好みのダレを探求するのがおすすめです。
漬け時間のコツをマスターしよう
漬ける際の時間設定には気をつけましょう。長すぎると塩分が強まり過ぎ、反対に短いと味付けが足りなくなることがあります。理想的な漬け時間は、一般的に5~6時間です。この時間帯に設定して、冷蔵庫の中でジップロック袋などを利用して漬け込むことをお勧めします。
漬け終わったら、不要なタレは捨てて保管することができます。もしも味が強くなってしまった場合は、お茶漬けにしてみると良いでしょう。出汁やお茶を加えて味を薄め、新しい食べ方としてお楽しみください。
冷凍漬けの解凍法について
冷凍保存で漬け物を長持ちさせることができますが、解凍する方法によっては、その美味しさが変わることがあります。最良とされる解凍の方法は、冷蔵庫内で自然解凍することです。冷凍していた漬け物を冷蔵庫へ移し、3~4時間をかけて徐々に解凍させましょう。
確かに、電子レンジでの急速解凍も不可能ではありませんが、刺身と同じ理由で細胞が破壊され、中の液体(ドリップ)が流出することがあります。これにより漬け物は水っぽくなり、食感が損ねられ、また、美味しさを構成するうま味成分も失われるため、この点には注意が必要です。
お刺身の賞味期限と長持ちさせるコツ、美味しい活用法
通常、刺身用にさばかれた魚の賞味期間はおよそ2日間とされているのが一般的です。しかし、魚の種類によって長持ちしやすさには差があるため、注意が必要です。特に「青物」などは鮮度が落ちやすいとよく言われる群ですが、保存状態や種類によっては意外と日持ちするものもあります。
それぞれの魚種ごとにおけるお刺身としての賞味期限の目安を詳しく見ていきましょう。
当日中
サワラ、アジ、サバ、イワシ
1日~2日程度で買いたい海産物
- タイ
- ヒラメ
- スズキ
- カンパチ
- タコ
- イカ
刺身の保存期間と注意点
刺身は種類によって保ちが良いものとそうでないものがあります。
例えば、ブリやマグロは2日から3日程度保存可能ですが、要注意なのは食中毒のリスクが高いアジ、サバ、イワシ、サワラです。これらの鮮度には十分に気をつけましょう。
また冷凍することで保持が格段に良くなり、冷凍刺身は食べきる目安として1週間程度を見ておくとよいでしょう。
保存期間を延ばす方法
- 昆布締め
- 火を通す
昆布締めは、塩を刺身に振りかけ、昆布で包んで冷蔵庫で1~4時間程度寝かせる保存方法です。これを行うと最大で1週間ほど冷蔵保存が可能になります。
一方で、火を通すことでも保存性が向上します。
おすすめの加熱方法としては、お刺身をお味噌汁の具材として利用したり、揚げたりすることがあります。期限が迫った刺身は加熱して食中毒菌もしっかりと殺菌することがポイントです。
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