冷凍庫内の霜取り作業は何かと苦労の種です。通常、電源を抜いた状態でドアを完全に開放するのがスタンダードな手順ではありますが、霜が完全に解け去るまでの時間は、夏場では約10時間、冬場に至っては約15時間と言われています。
その間、冷凍食品を室温で放置するのは食品の品質が落ちる恐れがあるためよろしくありませんし、クーラーボックスを使用しても、完全に安心することは困難です。
毎回の霜取りごとに、電源を断たずにスムーズに作業を済ませることができたら、どんなに助かるだろうと思うことはありませんか。そこで今回は、電源をオフにせずとも冷凍庫の霜取りが可能な二通りの方法を詳細にご案内します。
1.冷凍庫の霜取りを電源を切らずに行う二つの方法
冷凍庫内部の霜取りには、電源を切ることなく手軽にできる革新的な手法があります。その方法を主に二つに分けてご説明しましょう。
- 霜取りの際の注意点
- 薄い霜の除去方法
霜取りの際の注意点
冷凍庫内に分厚く積もった霜の除去には、ドライヤーが役立ちますが、使い方には注意が必要です。熱い風を利用すると、冷凍庫のプラスチック部品が溶けて形が変わるリスクがあるため、熱風は使用しないようにしましょう。
ドライヤーには「送風モード」または「冷風モード」を選んでください。
霜を効率的に溶かすためには、ドライヤーを冷凍庫の中で少しずつ動かして風を行き渡らせる方法が最適です。特に鍾乳洞のようになっている霜には、基部に風を当てて集中的に作業すると効果的です。
水浸しの状態を防ぐため、作業行う際は冷凍庫の前にフェイスタオルを、そして床にはバスタオルを敷くなどして対策をしておくことが推奨されます。
薄い霜の除去方法
表面にわずかに付着した霜を取り除くためには、以下の3つの方法が有効です。
温かい湿布を用いる
さわると簡単にくずれそうな軽度の霜は、温かい湿布を使う方法が良いでしょう。
約40℃のお湯で湿らせたタオルを霜の上に押し当てて溶かし、最終的に拭取るのみなので、時間もあまり必要ありません。非常に薄い霜ならば、迅速に溶けて容易に除去できます。
手強い霜で取りづらい場合は、「タオルを温水に浸し、霜に当てる」という作業を複数回繰り返すといいでしょう。
しばらくすると簡単に取れます。きれいになった後は、乾燥させるため乾いたタオルで拭き上げてください。
スプーンとバターナイフを使用する
手軽に手に入る台所用具を活用する方法もあります。軽い霜には、特にスプーンとバターナイフの使用が効果的です。
霜に細かな亀裂がある場所を見つけ出し、スプーンの柄の部分で少しずつ崩し、カーブのある部分でかき集めるようにして取り除きましょう。
霜と壁の間にバターナイフが挿入できそうなら、そのままねじ込んで少しずつ削り取ります。金属製のものは冷凍庫内部を損傷させる恐れがあるので、プラスチック製の道具を推奨します。
お湯とフォークを利用する
スプーンやバターナイフだけでは除去しきれない厚みのある霜には、熱湯とフォークを使用することをお勧めします。
冷凍庫内にこびりついた霜を溶かすため、まずはお湯をかけることから始めます。大量にいっぺんにかけるのではなく、計量カップなどを活用して少しずつ丁寧にかけていくのがポイントです。
霜が柔らかくなり始めたら、フォークを使って優しくこそぎ取ります。この際、鋭利なフォークの先端で内部を傷つけないように注意して作業してください。
また、周囲に水が飛び散るのを防ぐために、フェイスタオルやバスタオルを準備しておくことも忘れずに。
2.冷凍庫に霜が発生する理由とは?3つの主な原因
冷凍庫で霜が形成されるのには、主に次の3つの要因があります。
- 温度や湿度の変化による影響
- 冷凍庫の内部における埃や汚れの影響
- ゴムパッキンの経年劣化
温度や湿度の変化による影響
一つの原因として温度や湿度の変化が挙げられます。冷凍庫の中の低温多湿な環境と室温の温度差が、結露を引き起こします。この結露が凍結し、次第に霜へと変わっていくのです。
冷凍庫の内部における埃や汚れの影響
もう一つの原因は、埃や汚れが冷凍庫内部に蓄積することです。
冷凍庫の中に位置する冷却器の通風部分が埃や汚れで塞がれると、本来の急速冷凍の機能が低下し結露を引き起こします。
この結露が凍結し、時間が経過すると霜へと変化していきます。
ゴムパッキンの経年劣化
第三の要因はゴムパッキンが経年劣化することにあります。
劣化により膨らんだり、変形したり、亀裂が生じたりすると、冷気がしっかりと閉じ込められず、その結果結露が生じます。
そして結露が凍結することで、次第に霜に変わる現象が起こります。
3. 霜付きを予防するための前もっての工夫
霜がつくのを未然に防ぐためには、事前に次の5つの対策が効果的です。
- 冷凍庫のゴムパッキンチェックの重要性
- 冷凍庫の扱い方で気をつけるポイント
- 冷凍室の扉がきちんと閉じていることを確認する
- 冷凍室内の食品は適切な量に保つ
- 温かな料理は冷やしてから保管しよう
冷凍庫のゴムパッキンチェックの重要性
冷凍庫のドアや引出のゴムパッキンが正常に機能しているかを確認することが大切です。
ゴムパッキンは冷凍庫の気密性を維持するために必要なパーツであり、不具合があると冷気が漏れたり、結露の原因になります。
そのため、ゴムパッキンが損傷していたり、摩耗していたりする場合は、早めの交換が推奨されます。
冷凍庫の扱い方で気をつけるポイント
冷凍庫の扉の開け閉めは、なるべく最小限に留めることが大切です。
取り出すべきものは、一回で取れるように工夫しましょう。これには二つの理由があるためです。
一つ目は、外部からの湿気をできるだけ遮断すること、そしてもう一つは、冷凍庫の内部温度を常に安定させておくことです。
冷凍室の扉がきちんと閉じていることを確認する
冷凍庫を使用する際は、その扉がきちんと閉じられていることを確認するように心がけましょう。
その重要性は、冷気が外に漏れ出ないようにすることにあります。
扉の閉じ忘れや半開き状態を避け、冷凍庫を利用した後は、扉がしっかりと閉じているかどうかを常に確かめることが良い習慣となります。
冷凍室内の食品は適切な量に保つ
冷凍庫を使用する際は、その中身を適度に保ち、ぎゅうぎゅうに詰め込むことのないよう注意しましょう。
これには冷気が均等に流れ、効率良く冷却するための理由があります。
商品や食材間に小さな隙間を空ける、冷凍庫の奥行き方向や側面に余裕を持たせて配置すると良いでしょう。
温かな料理は冷やしてから保管しよう
作り置き料理をする際には、作った直後の暖かなままでの保存は避け、しっかりと冷ますことを心がけましょう。
これは、保存容器内での結露を防止するためです。料理から湯気が立っているうちに冷蔵庫や冷凍庫に入れることは避けてください。
時間がない場合でも、フタがしっかりと閉まるタッパーなどを利用して、一定の間隔で蓋をふくみ水滴を拭き取ることが大切です。
4.冷凍庫内の霜放置がもたらすデメリットは何か?
冷凍庫内における霜の放置は、以下の2つのデメリットを引き起こします。
- 不要な電気料金が発生する
- 冷凍庫の扉が開かなくなることがある
不要な電気料金が発生する
冷凍庫の霜取りを怠ってそのままにしておくと、気づけば無駄に電気代が増えている可能性がありますので注意しましょう。
冷却機能を持つ基板や温度センサー付近に霜が蓄積することで冷気の流れを妨げ、結果的に冷凍庫の冷却効率が低下します。
冷却力の低下は、冷凍庫内の食品などを十分に冷やすことができなくなるという問題を引き起こします。
それを補おうと冷凍庫が余計に努力をするため、普段よりも多くの電力を使い、電気代もそれだけ高くなってしまうのです。
冷凍庫の扉が開かなくなることがある
長期間にわたって霜取りを行わないケースでは、冷凍庫の扉が固く閉ざされ、開けられなくなるという問題が起こることがあります。
そのような状態が続くと、霜が徐々に膨らみ、積み重なって洞窟のようになることさえあるのです。
そうして巨大化した霜が、扉のパッキン部分に強くくっつくことにより、冷凍庫が固く閉じられたままになってしまうわけです。
万が一、力任せに無理に開ける試みをすると、パッキンが損傷してしまうことがあり、修理や交換が必須になることも。
さらに悪いことに、パッキンの問題だけでなく扉自体が壊れてしまい修復不可能になるケースもあり、その結果、冷凍庫全体を新しく買い換えねばならない事態に陥る可能性も否定できません。注意が必要です。
5.霜取りはどのくらいの頻度で行うべきか
冷蔵庫や冷凍庫の霜取りは、だいたい1カ月ごとにするのが理想的です。
霜取りを怠ってしまうと、数カ月間で霜が厚くなり、その結果、溶け出した水で内部が濡れる恐れがあります。
それだけでなく、通常時よりも電気料金が上昇するだけでなく、冷凍庫の冷却性能も落ちてしまうため、定期的な霜取りは重要です。
特に、小規模な冷凍装置や冷蔵装置は霜がつきやすい短所があります。それは、冷却装置が直接庫内に設置されている直冷式であるからです。
一方で、大型の冷蔵庫は霜の発生が少ないのが長所です。これは、冷却装置が庫外に存在する間冷式であるためです。
したがって、キッチンのスペースに余裕があって大きい冷蔵庫を配置できるなら、間冷式のモデルにすることを考えてみると良いでしょう。
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