チェリーセージは、その名が示す通り、桜のような芳醇な香りのピンク色の花を咲かせることで愛されています。
また、アブラムシを寄せ付けない効果や、ハエを忌避する性質を持つため、一緒に植えることで他の植物を守る「コンパニオンプランツ」としても注目される存在です。
しかし、「チェリーセージは植えるべからず」と断言されるケースもあります。
事実を正しく把握するためには、チェリーセージが適切なケアで十分に管理されている限り、庭に植えても特に問題は発生しません。
ただし、放置して大きく成長しすぎたり、植物に含まれる毒性による弊害が懸念されることから、植えない方が良いとの意見が出てくるのです。
本稿では、チェリーセージの植栽に潜むリスクと、それに伴う適切な対応策についてお話します。
チェリーセージを植えるべきではない理由
チェリーセージは植栽するにあたっていくつかの注意点があります。主な理由は下記のとおりです。
- チェリーセージによる生育阻害の問題点
- チェリーセージの繁殖力とその問題点
- チェリーセージに関する毒性についての聞こえる噂話
チェリーセージによる生育阻害の問題点
チェリーセージの植栽に関して注意が必要なのは、その生命力の強さです。
この植物は非常に勢いよく成長を遂げるため、周囲の植物を圧迫する傾向があります。幼い状態から植えたとしても、条件が整えばわずか1年で直径と高さが1メートルを超えるほど成長します。
その強い根は速やかに周囲へ広がり、他の植栽の光や根のスペースを奪ってしまうことがあります。これによって他の植物が枯れる事態にもなりかねません。
ただし、適切な配慮をもって植え付ける位置や方法を選ぶことでこの問題は回避可能です。
チェリーセージの繁殖力とその問題点
チェリーセージを植えるべきではないもうひとつの理由として、その強い繁殖力と育ちすぎる可能性が挙げられます。
この植物は地下茎や挿し木、さらには落ちた種からも繁殖する傾向があります。地下茎により特によく繁殖するため、スペースを取らずにコンパクトに育てたい方や、植物の数を増やしたくない場合には問題となるでしょう。
特に地植えをする際には注意が必要です。対策を施さずに地植えにすると、地下茎がどんどんと広がってしまい、やがては管理が困難になる恐れがあります。
地下茎だけでなく、枝が土と接触している部分からの発根も見られます。そして、種が風に乗ってほかの場所で発芽するケースもあり、意図しない場所での増殖が進む危険があるのです。
チェリーセージに関する毒性についての聞こえる噂話
チェリーセージを庭に植える理由の三つ目は、その毒性に関する噂が飛び交っていることです。
実際にこの件について調査してみると、チェリーセージには有毒だとする情報もあれば、そうでないと主張する情報も存在し、結論が一様ではありません。
チェリーセージが毒を持っていると言われる根拠には、シソ科アキギリ属に属するセージ(サルビア)種に、人体に対して有害な影響を及ぼす可能性を持つ「ツヨン」という成分が存在するためです。
このツヨンは、ある種のセージが持ち、古来より薬用や食用として使用されていますが、そのためチェリーセージにも摂取を過度にすれば有害な影響を与えるかもしれないと心配されています。
ただし、チェリーセージを単に植物として眺める分には何の問題もなく、クラフト材料や生け花として利用することが可能ですし、エディブルフラワーとして使用したり、サラダやハーブティーに少しだけ加えるくらいなら、害がないとの報告もあります。
それにも関わらず、一般の市場で流れているチェリーセージは、主に観賞用として販売されており、食用とは明言されていないものがほとんどです。このため、食用にする場合の安全性は保障されていないというのが現実ですので、摂食は避けるべきです。
家庭内にペットや幼い子どもがいる場合、彼らがチェリーセージを口にしてしまわないよう注意が必要です。し万が一食べてしまったときは、迷わず医師の診断を受けてください。
チェリーセージの植栽時の留意事項
チェリーセージを管理する際、適切な成長を維持するために注意すべきことが幾つかあります。具体的な対策をご案内します。
- 根や地下茎の拡散を抑える工夫
- 剪定を行い、植物が過度に大きくなるのを抑える
- 種が成熟する前に、定期的に花を摘み取る
- ペットや小さなお子様の手の届かない場所で育てること
根や地下茎の拡散を抑える工夫
チェリーセージの根や地下茎が周囲に広がりすぎるのを防ぐことは、アグレッシブな成長をコントロールし、管理を容易にします。容器を使用して植栽することは、チェリーセージのサイズを適切に保つためのもっとも手軽な方法です。鉢やプランターに植えた際には根が詰まりやすいため、十分なサイズのものを選び、周期的に植え替えをすることが重要です。直接土に植える場合は、根や地下茎の拡張を防ぐための仕切りや防根シートを利用すると良いでしょう。たいていの場合、チェリーセージは他の植物と分けて単独で育てるのが適していますが、どうしても混植を希望する場合は、遮光しないよう配慮しつつ根止め対策を事前に施しましょう。
剪定を行い、植物が過度に大きくなるのを抑える
チェリーセージは低木タイプの植物であり、時間が経てば経つほど土台部分が木化し、その結果として生い茂りすぎる傾向があります。
木化すると葉や芽の成長が悪くなり、花の数も少なくなりますから、見栄えも害されます。木化が進行すると、整った形を維持することが難しくなり、さらには古く強固な根を抜くことも一苦労になってしまいます。
そのため、チェリーセージの健康を保つためには、木化を遅らせる定期的な剪定や切り戻しが必須です。
特に、夏前や花が咲いた後のタイミングでの剪定は、植物の大きさを抑制するうえでも重要となります。剪定する際には、木化した部分ではなく、まだ緑の生育部分で最低2~3枚の葉を残すように気をつけましょう。
剪定作業後には、枝が地面に接触して新たに根付いてしまうことがないように、剪定した枝が落ちたままにならないように掃除することが大切です。
木化した部分はもとには戻らないため、苗の状態にリセットしたいときは、挿し木を用いて新しい株に置き換えることがおすすめです。
種が成熟する前に、定期的に花を摘み取る
チェリーセージの種子は、発芽する可能性が比較的低いです。しかし、一度地面に落ちてしまった種子が芽生えると、以降の手入れが煩雑になりがちです。
そこで、花が咲き終わった直後、種が形成される前に、茎を適切に切り取ることが推奨されています。
ペットや小さなお子様の手の届かない場所で育てること
チェリーセージはその美しさで愛される観賞植物ですが、残念ながら毒素を含んでいるため、小さな子どもやペットが誤って口に入れないように配慮が必要です。
特に、この植物はさくらんぼに似た魅力的な香りを放つため、食べ物と間違えやすい点に注意が必要です。また、剪定後の枝や花も同様に取り扱いには十分気を配りましょう。
まとめ
チェリーセージはその強健さから広がりやすく、手入れを怠ると過剰に成長や繁殖をする可能性があります。
鉢植えなどで成長をコントロールする、花が種になる前に摘むなどして、その増殖をコントロールすることが大切です。しかし、チェリーセージは決して栽培してはならない植物ではありません。
ただし、その一方で毒性を持つともされています。そのため、家にペットや小さな子供がいる場合は、チェリーセージの植栽を避けるか、もし植える場合でも誤飲に注意し適切な管理が必要です。
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