通常、赤ちゃんは多くの時間を睡眠に費やしますが、中にはなかなかぐっすりと寝てくれないこともありますよね。「この子はどうしてこんなに眠らないんだろう?」と不安になる親御さんも多いでしょう。特に、ある日を境に急激に夜泣きがひどくなったり、寝つきが悪くなったりすると頭を抱えますよね。そんな時、考えられるのが「睡眠退行」という現象です。この状態の原因とそれに対応する方法について見ていくことが重要です。
睡眠退行とはどのような現象か
睡眠退行とは赤ちゃんが取得していた規則的な睡眠パターンが突如として乱れる現象を指します。赤ちゃんは元々出生後の期間には、昼夜問わず多くの時間を睡眠に費やしながら成長を遂げていきます。やがて、生後数か月が経つと徐々に睡眠パターンが形成され、大人のように「夜間に睡眠をとり、昼間は活動する」というリズムを身につけ始めます。このステップにより、夜通し眠る力が備わることで、親としても一息つける時期が訪れるわけです。
しかしながら、一見うまくいっていた睡眠リズムが、ある時を境にして崩れ出し、親を驚かせることが稀ではありません。安定していたはずの就寝が不安定になり、「先日まではぐっすり眠っていたのに、どうして?」や「連続して眠る時期が終わったと思っていたのに……」といった状況に頭を抱える親御さんも多いでしょう。睡眠退行とはまさにこのような、突発的に起こる赤ちゃんの寝つきの悪化を指す言葉です。
睡眠退行を引き起こす要因とは?
睡眠退行に関しては、赤ちゃんの成長段階に合わせて、さまざまな原因が存在します。生後4カ月ごろには、赤ちゃんは新生児期の段階から次なる成長へと移行します。この移行期には、これまでの断続的な睡眠パターンから一転して、睡眠のリズムが変わり易くなり、睡眠退行が見られることがあります。
また、赤ちゃんがパパやママに対する依存心を強める分離不安が出始める局面もあります。分離不安とは、常にそばで面倒を見てくれる身近な人々と離れることに強い抵抗感を抱くことです。分離不安が強まると、親が目の前からいなくなったり、違う部屋に行ったりすると、赤ちゃんは感じる不安が増してしまいます。眠りに入る瞬間や睡眠中、親と分かれることへの恐れから、泣き出してしまう子もいます。
さらに、生後6ヶ月から8ヶ月頃になると、だんだんと歯が生え始める赤ちゃんが増えてきます。この時期、生える歯による不快感や痛みなどの影響で、歯ぐずりをすることがあります。歯が気になり眠りにつけない、あるいは夜中に目覚めてしまうといった事態が起こる可能性があります。
1歳の節目に起こり得る睡眠退行について
生後間もない時期は睡眠面で問題がなく、スムーズに夜を過ごしていた赤ちゃんも、1歳の頃になると唐突に睡眠に困難を抱える可能性があります。1歳という時期は発達が著しく、かつて簡単にできたことが急に困難になることがあり得ます。
この時期になると体を多く動かすようになり、その結果、日中の落ち着きが以前に比べて減退することがあります。いろいろなことができるようになるにつれて、日々忙しくなり、様々な刺激を経験することで脳が活発に動くこととなり、平穏に眠りにつくことが以前よりも難しくなる可能性があります。
感受性が豊かになる中で、感情面での安定が崩れることもあり、分離不安が従前よりも深刻になることがあるかもしれません。様々な夢を見るようになり、その夢が悪いものであれば、それを怖がる子も出てくると言われています。
赤ちゃんの睡眠退行への対応策
子供が以前は比較的簡単に眠りについていたのに急に寝つきが悪くなった場合、生活のリズムを見直してみると良いでしょう。乳幼児は大人と異なる睡眠パターンを持ちますが、次第に大人のリズムに合わせるよう誘導することが重要です。特に夜間は連続して眠れるよう、日中は活発に動かして疲れを感じさせることが肝心です。
可能であれば十分な日光を浴びさせることを意識し、屋外での活動を増やしましょう。公園での遊びや散歩、家の中でも日当たりの良いスペースで過ごすようにしましょう。日中の充実した活動の後は、赤ちゃんが眠る部屋の環境を見直します。小さな刺激にも敏感な赤ちゃんが、たとえば光や音に反応して夜中に目を覚ますことがないように注意してください。
寝室への外光の侵入や、隣の部屋や外からの音が伝わらないかをチェックし、遮光カーテンの使用や防音パネルの設置を検討するのも良いでしょう。場合によっては、オルゴールのメロディーやホワイトノイズの方が安心して眠れるという子もいます。赤ちゃんが最もぐっすりと眠れる環境を試行錯誤で見つけていくことが大切です。
さらに、部屋の温度が極端に暑かったり寒かったりすると、睡眠の質に影響を与えます。赤ちゃんの反応を見て室温を適切に調整してください。
睡眠退行についての概要
赤ちゃんにとって、スムーズな睡眠は大変重要です。しかしながら、彼らは成長のプロセスである「睡眠退行」という段階を経験することがあります。これは、これまで問題なく眠っていたり、一度寝るとなかなか起きなかったりしていた赤ちゃんが、突如として寝つきが悪くなったり、夜中に何度も目覚めたりするようになる現象を指します。この時期は親にとっても不安になりがちですが、慌てずに対処することが大切です。昼間は存分に遊ばせて活動的にし、就寝時にはリラックスできるような環境を整えることで、徐々に安定した睡眠パターンを取り戻すことが期待できます。
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